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【 乾いた絶頂 (1)】
 
 
 
 

 
圧迫感に目を覚ましたBJは、自分のおかれている状況がすぐには理解できなかった。
ベッドにうつ伏せにされ、両手首を一纏めに押さえ込まれ、体格のいい男が上から覆いかぶさっている。
 
困難な手術だった。
成功したものの、術後は予断を許さないものだった。
容態が落ち着くまでのこの数日は患者につききりだったから疲れきっていたのは確かだ。
だが、就寝中に部屋に忍び込まれて、こんな状況になるまで目が覚めなかったとは。
キリコと同時に呼ばれた依頼内容は胡散臭さにまみれていたが、報酬の高さとキリコに仕事をさせないという強い意志により引き受けた。
かなり危ない集団にみえたのだから油断すべきではなかったのだ。
BJは迂闊な自分を呪った。
一瞬口封じに殺されるのかと思ったが、体をまさぐられようやく男の目的を理解する。
首をねじり背後の男をみる。
薄暗い中でもはっきりとそれが誰だか判別できた。
よく知った男だ。
今回の仕事の依頼者のひとりである。
男の自分を見る目は少しおかしいのはなんとなく気がついていた。
「傷は体中にあるのかよ」とか言いながら服をめくろうとすることもあったが、それはただ単に傷だらけの体に対する好奇心くらいだと思っていたのだが。
夜這いをかけられてようやく色欲の対象とされていたということに、気がついた。

「やめろっ」
下着の中に手が差し込まれて、命の危険でなく貞操の危険を感じて渾身の力を込めて暴れるが、背後から圧し掛かられていては思うような反撃はできない。
ぐいっと下着ごとズボンをさげられ尻が露になる。
遠慮ない動きで表面を撫でられてゾワゾワと背筋を悪寒が駆け抜ける。
「さすが東洋人だな。傷だらけでも手触りは最高だ」
げひた笑いを滲ませながら男はそういうと割れ目に指を滑らせた。
「東洋人は締まりもいいっていうよな」
普通なら滅多に触れることのない後門に触れられて、暴れろという叫ぶ意思に反して恐怖で体が固まった。
この男は確実に、男である自分を犯そうとしているのだ。
男同士のセックスについて知識としてはあるが、まさか自分がその対象になろうとは思わなかった。
抵抗が止まったことをどう受け取ったのか、男はBJの耳朶を後ろから舌でねぶった。
「そうそう大人しくしてろよ。俺なしじゃいられなくなるくらいたっぷりと楽しませてやるからよ」
男の指が離れる。
BJがホッと一息つくのと同時に、甘ったるい香りが漂ってきた。
それが何か考える間もなく、男の指がふたたび後門をいじりだした。
ぬめった指がなにかを塗りこむように蠢く。
「や、やめろっ、この変態!」
叫びながら腰を振って逃げようとするが指は吸い付いたように離れない。
どんなに暴れても背後の男は微動だにしない。
「ハハッ、暴れてもいいぜ。無理矢理モノにするのも一興だ」
男の高らかな笑い声と共に、後門に指が突きこまれた。
「ひっ!?」
痛みと圧迫感に息がとまる。
「センセ、あんたバージンか?キツイな」
そう言いながらも指はぐいぐいと奥に向かって進んでいく。
違和感と嫌悪感にBJの全身から脂汗が吹き出した。
「だがよ、すぐよくなるぜ。ホラ、どうだ?」
男の指が体内でくいっと折れ、ある一点を指先で強く引っかいた。
「アァッ!?」
ビリリとした快感がBJの背筋を駆け上がった。
「前率線だよ、センセには説明はいらないよな。ココにこの薬をたっぷりとすりこむと男なしじゃいられない体になるぜ」
コリコリと指先が前立腺を刺激する。
言われてみれば、確かに何かを強く刷り込んでいるような動きだ。
息をとめて耐えていると指が一度抜かれ、すぐにたっぷりとしたクリームを伴って押し入ってくる。
強要されるはじめてのその行為は鳥肌がたつほどの嫌悪感と強制的な快感をBJに与えていた。
BJの全身の力が抜け、かくりとベッドに沈みこむ。
それに気がついた男が愉しそうに笑った。
「気持ちよくなってきたか?もっと弄って欲しいだろ?」
抵抗をしなくなったことに気を良くした男はBJの手の拘束をとき、片手で体を撫で回しながら乱暴に服を脱がせはじめた。
その瞬間。
BJは思いっきり後ろに仰け反って、男の顔面に後頭部をぶつけた。
「ぐ、わっ」
油断していた男はもろに頭突きを喰らい、顔面を両手で覆いながら仰け反った。
チャンスを逃すようなBJではない。ベットの上で体を転がし、男の下から逃げ出す。
「このっ」
痛みに、涙と鼻血を垂らしながら手を伸ばす男の頭を横蹴りにすると、男は意外と簡単に吹き飛ばされベッドから転がり落ちた。


「おまえ、いい加減にしろ!うるさいぞ!」
不本意ながらもBJの隣室を宛がわれていたキリコは、今回の仕事に自分の出番はないと悟り、帰り支度を整え、朝早く出発しようとベッドに入ったものの、BJの部屋が騒がしくて眠れない。
患者を取られて苛々していたこともあり堪忍袋の尾は意外と短く、八つ当たりもあり早々とBJの部屋に怒鳴り込んだのだが。
ドアをあけて室内をみて唖然とした。
見覚えのある屈強な男が顔を血まみれにして、BJを床に押し倒しているのだ。
その両手は首を締め上げようとしていて、抵抗するようにBJがその手を必死に抑えている。
どうみても殺人現場である。いや殺人未遂現場か。
誰が相手であろうと、殺されようとしているのが商売敵であろうと、関係ない。
「やめろっ!」
そう叫びながらもキリコは正攻法で行ったのでは男を止められないということを理解していた。
なんといっても体格や筋肉の量が違いすぎる。
反射的に男の後ろに回りこみ、急所である延髄に手刀を落とした。
血が昇りBJを締め上げることしか頭になかった男はキリコの存在に気がついていなかった。
あっという間に白目をむいて、無言のまま一瞬でおちる。
ぐらりと倒れる男の体をキリコが一蹴すると、そのままドスンと横倒しになった。
押しつぶされる危険を回避したBJは胸元を押さえ苦しそうに咳き込んだ。
「おい、なにがあったんだ?」
当然の質問である。
ドアをあけたらBJが依頼人のひとりから殺されそうになっていました。
という状況だ。
だが、依頼人からすればBJに感謝こそすれ殺す理由はないはずなのだ。
胡散臭い仕事であったが殺してまで口止めが必要があるとは思えない。
咳き込みがおさまったBJはよろりと立ち上がると、乱闘で乱れたらしき衣服を整えて、キリコをキッと睨んだ。
「なんだよ」
「逃げるぞ」
「・・・は?」
覚束ない足取りでBJは部屋中をかきまわし、私物を纏めるとドアに向かって歩き出す。
「なんで、俺まで」
「そいつをやったのはお前だろう!」
嫌悪感も露な視線をアワを吹いて倒れている男に睨み、BJはキリコの腕をとった。
「お前だっていつやられるかわからないんだぞ、早くしろっ!」
BJが殺されそうになっていたのは事実だ。
それが自分の身にも降りかかってくる可能性はないとはいえない。BJとキリコの条件はまったく同じなのだ。
状況がつかめないまでも、BJに急き立てられたキリコは訳もわからぬまま自室に駆け込んだ。
すでに荷は纏めてある。
「訳はあとで詳しく話してもらうからな」
ひとこと釘をさすことは忘れず、キリコはBJと一緒に部屋を後にしたのだった。
 
 
 
 
 

(2)へ
 

    
 
 
   
 ■なかがき■
ずっと書きたかったテーマ(というかネタ)にチャレンジ!
エロに向かってキリジャスタートですv(笑)

ネタに辿り着くために薬ネタを使用したのですが
そのため今回のBJのお相手はキリコじゃありませんでした。
キリジャ以外が苦手な方はすみません(^^;)
これからキリジャになる予定ですので!

まだまだ先は長くなりそうですが暫くおつき合い頂けると幸いです。
 
 
 
 

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