■夢十夜 〜第三夜〜■
 
 
 

 
暗闇の中を駆けている。
逃げているのか、追っているのか。
よくわからないが斬鉄剣を片手に必死に走っている。
「五右エ門、こっちだ!」
聞きなれた声が聞こえ、ぬっと横から伸びて来た手に腕を掴まれ引き込まれた。
真っ暗な部屋をそのまま横切り、次元は奥にある棚の中に五右エ門ごと飛び込んだ。
バタン、と扉が閉まる。
「やつらが来る。ルパンを助けるためにも今捕まるわけにはいかねぇ」
「やつら?ルパンが捕まったのか!?」
「お前、寝ぼけてるのか?とにかくじっとしてやりすごそう」
そうか、追っていたのでなく逃げていたのか。
そして捕まるわけにはいかないのだ。
瞬時に理解し、いや思い出し、五右エ門は息を潜め気配を消した。
洋服ダンスかなにかだろうに、やたらと狭い。
男ふたりが立って密着しないと収まりきれないくらいだ。
先に入った次元が五右エ門を引き寄せた状況だったから、ふたりはまるで抱き合っているような状態だった。
ほぼ同じ身長だから頬が微かにあたる。
髭とモミアゲと肌の感触に五右エ門は顔を背けた。
気持ち悪いわけではないが、なんだか居たたまれない。
「来たか?」
小さく呟いたあと、次元は五右エ門を強く抱きしめて引き寄せた。
扉から少しでも躯を離させようという意図だったのだろうが、苦しいほどの抱擁に五右エ門は息を止めた。
気配は特に感じなかったが次元はなにかを察したのかもしれないと、五右エ門はおとなしく従う。
息を潜め抱きしめあった状態で時が過ぎる。
どれだけ時間が経ったのか、そろそろ脱出時期かもしれないと五右エ門が考えだしたとき。
ぞくりと背筋に寒気に似た震えが走った。
はっと気がつくと、いつの間にか次元の大きな手が五右エ門の臀部に回されていた。
尻を鷲づかみした両手が蠢き、強く弱く揉み扱いているのだ。
驚き硬直する躯に気がついたはずなのに、次元はその動きをとめない。
「な、なにをっ」
「声を出すなよ」
慌てて抵抗する五右エ門の耳に息ごと低い声が吹き込まれた。
耳や首筋を擽る吐息は普通ならくすぐったいだけなのだろうが、尻を蠢く手の動きと相まってゾクリとした刺激になった。
「みつかったらヤバイだろ?」
「だったら、手をどけろっ」
吐息で言い合うと、次元の手はあっさりと離れた。
ほっと安堵した五右エ門だったがそれは一瞬で、すぐに大きく躯を仰け反らせた。
叫びを発しなかったのが奇跡だと思えた。
袴の横の隙間から差し込まれた次元の手が戸惑うことなく、太腿を撫で上げ臀部をふたたび掴んだのだ。
服の上からと違う、直接肌が触れ合う感触。
「次っ」
「おとなしくしろって」
身を捩る五右エ門を両腕の側面で横から挟み込む。
その間も掌は引き締まった尻を優しく撫で、ときには強く鷲づかむ。
殴ってでも逃げればいいのだが、敵中で身を隠している今それはできない。
その状況を利用して悪戯を仕掛けてくる次元に怒りを感じるが、与えられる刺激に怒りを殺ぐだけの戸惑いと焦りが湧く。
息をとめ耐える五右エ門の様子に次元は愉しげに笑った。
笑いの気配に次元を睨みつけようと顔を動かした五右エ門がふたたび硬直する。
双丘の谷間を隠す褌がぐいと引かれ、指が捻りこまれたのだ。
薄い敏感な皮膚を指が滑っていく。
そして辿り着いた最も敏感な場所。
自分でも滅多に触れることをしない、小さな締まった孔に指先が触れた。
「ヒッ」
小さな悲鳴をあげて五右エ門が身を捩るが、指先はなんの影響も受けずその場所を嬲り続ける。
初めて受ける刺激。
焦れるようなむず痒さ。
背筋を駆け上る痺れるような感覚。
そんな場所を弄られて身を焼く羞恥。
どうしていいのか、心も躯もきちんと反応できない。
指から逃れようと腰を振っても、吸い付いたように指先はその場所から離れない。
息を荒くし、声を殺し、躯全体を震わす五右エ門を次元は堪能する。
「そんなに厭らしく悶えるなよ」
そう囁くと締まった孔に指先を宛がい、そのまま思いっきり捻りこんだ。
痛みと圧迫感を伴う、無理やり挿入された衝撃に驚き今度こそ本当に悲鳴をあげた。
 
 
 
自らの悲鳴で五右エ門は目を覚ました。
 
 
 
 
 

■YUMEJUUYA-DAISANYA-■
   

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