■第1話■


 

捨て子で教会に拾われたフロドは幼いときから修道僧として暮らしていた。
勉学が好きで色々な知識を吸収し、俗世とは切り離された毎日を過ごしていた。
勿論、教会から出たことはある。
だが、出るといってもお使いや散歩、勉学のために学び舎に通うくらいのこと。
こんな風に馬に跨り、ローマから離れるのは生まれて初めての経験だった。

馬に乗ったことがないフロドを抱き上げレゴラスは自分の馬に乗せる。
腕の中にいるフロドが愛しくてたまらない。
こんなに長時間密着するのは初めてで、レゴラスは内心大興奮状態だった。
フロドのあまやかな香りが、黒く柔らかい巻き毛と共にレゴラスの鼻を擽る。
細く小さい躯を支えるように細い腰に廻した片腕が熱い。
五感すべてでフロドを感じてレゴラスはどんどん不埒な気分になっていく。
愛する人が腕の中に、それもこんなに密着しているのだ。
ならない方がおかしい!とレゴラスは自分勝手なことを思う。
だが、教会で長く暮らしているフロドにそんな俗物的な感情がわかるはずはない。
急を要しては反対に嫌われてしまう可能性が高い。
ここはぐっと我慢だ。
教会から連れ出したらこっちのもの。決して帰すつもりはない。
時間をかけてゆっくりとフロドを自分のものにするのだ。
と思うのだが。

躯はなかなか理性に追いつかず、つい股間を硬くしてしまったレゴラスだった。

カポカポと馬に揺られて少し経つとフロドも馬に慣れてくる。
緊張させていた躯から力を抜き、座り心地を求めて腰をクイと動かした。
ハッと頭の後ろでレゴラスが息を呑む気配がした。

「あ、ごめんなさい。重かったですか?」

体重をかけ過ぎたのかと慌てて重心を前に倒す。
だかその勢いで腰が後ろに、レゴラスの方へますます突き出されてしまった。
その腰に何かがあたる。
硬いが金属的な硬さでなく、しなやかな棒のようなものだ。
これはなんだろう、とフロドは思う。
レゴラスとフロドの間にこんなものがあったなんて今まで気がつかなかった。

「レゴラス?何を持ってらっしゃるんです?」

その存在を確認しようと手を伸ばす。
レゴラスが逃げるように躯を後ろへずらしたがフロドは構わず、ソレを掴んだ。

「!!!!!」

頭のうえでレゴラスが声にならない声を発した。

フロドの手の中にあるのは熱を持った太い棒状のモノである。
何かわからず柔々と強弱を持って揉んでみる。
布に包まれたソレは硬いが柔らかくまるで生物のように微かに脈打っている。

「フ・・・ロド」

名を呼ばれ、首を捩って後ろを見上げるとレゴラスが困ったように笑っている。
そしてレゴラスはフロドの腰に廻していた手を解き、不思議なモノを掴んでいるフロドの手をそっと掴んだ。

「離してくれる・・・かな?」
「あ、ごめんなさい」

好奇心に負けて許可もとらずレゴラスの持ち物に触れてしまったことに気がついてフロドは恐縮した。
パッと手を放すと躯と顔を前に向ける。

「勝手に触ってすみません・・・あの、大事なものなんですか?」
「うん、すごく・・・ね」

レゴラスの大事なもの。
それが何かはわからないが、さっき見た困ったようなレゴラスの表情を思い出して、きっと秘密の品物なのだと解釈した。
躯の前方に隠すように持っている大事なもの。
それがなんなのか深く詮索してはいけないような気はするが、好奇心が抑えられない。
フロドは唯一思いあたったことを口にしてみる。

「武器・・・とか?」

え?と小さい驚きを含んだ声が聞こえた後、少しの沈黙。
聞いてはいけなかったかとフロドが後悔しはじめたとき、レゴラスが大爆笑をはじめた。

いくら箱入り修道僧とはいえ、男の生理現象を理解出来ないフロドがたまらなく可愛く感じたのだ。
フロドも男だ。知らないわけはない。
だが、同性の自分が欲望の対象になるなんて微塵も考えないのだろう。
それは劣情を知られたと焦り緊張したレゴラスを揚々と解き放った。

「うん、武器だ。凄い武器なんだけど・・・今はみせてあげられない」
「じゃあ、いつかは見せてくれるんですか?」

なんで笑われたのかわからないけど、武器開発担当者としては凄い武器という言葉に反応した。

「いつかね。早くフロドにみせてあげたいけど・・・それは君次第かな?」

自分次第とはどういうことだろう、とフロドは考える。
(まだまだ修行が足りないってことかなぁ?僕はまだ見習い修道僧だし。)
レゴラスは見せないとは言ってない。いつか見せてくれるのだ。
なら早くレゴラスの信頼を得て、なにも隠さずにいてくれるように頑張ろう、とフロドは決心する。

「わかりました!頑張って修行しますからいつか見せてくださいね!」
「うん約束するよ。私も早く君にみてもらいたい。」

クスクス笑いながら楽しげにレゴラスは答える。
頑張ります!と繰り返す、フロドの髪にレゴラスは軽く口付けた。

(ここまで純真無垢じゃあ、大変そうだけど・・・これはこれで楽しいかもね)

このままフロドを拉致してしまうのもいい、と一瞬考えるが
吸血鬼退治をしないということは困っている人々を見捨てるということだ。
なんと思われても全然構わないレゴラスだが、きっとフロドはそうではないだろう。
見捨てたレゴラスを軽蔑し見限るはずだ。

(じゃあ、とりあえず邪魔者は排除して・・・後はフロドとランデブーとしけこもうかな♪)

凶悪ドラキュラ伯爵もレゴラスにかかっては只の邪魔者でしかなかった。
面倒くさいと思いながらもレゴラスはトランシルバニアに向かって馬を進めた。
だが。ふたりだけの時間をたっぷり確保するために、あくまでも馬足はゆっくりだ。
さて、純真無垢なフロドをどこから攻めたものかと、レゴラスは楽しげに頭を巡らすのだった。




 

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