【 Doctor's prince 】
 
 
 
 

俺は診察室にいた。
目の前には天敵ブラック・ジャック。
ブラック・ジャック・・・だよな?
なんだかいつもと様子が違う。
トレードマークのような、黒いスーツは着ていないし赤いリボンもしていない。
上品な、一目で質がいいことがわかるシャツとエンジ色のシルクのネクタイ。
ネクタイにはネクタイピンならぬ、細い金鎖がついている。この光沢は絶対本物だ。
表情も穏やかで涼やかで上品。柔和な笑みを浮かべている。
見れば見るほどいつもと違う男に、俺は真正面からガン見してしまった。
「どうしました?」
落ち着いた優しい声色。
こんな表情でこんな声色で対応されたら絶対に信頼を寄せてしまうだろうという良い医者の見本みたいだ。
「どうしたって・・・」
「患部は綺麗にふさがってますよ、すぐによくなる、安心していいですよ」
ニッコリと微笑みかけられ、なぜかつい軽く頷いてしまった。
患部と言われてハタと気がつけば、俺はベッドに横たわって腹を診せていた。
この部屋と、このシチュエーション。
ああ、あれだ。俺はグマに侵されて死を覚悟してこの島に篭ったんだ。
それなのにユリがこいつを呼んで治療をさせたんだった。
俺自身匙を投げた症状だったのに、こいつは原因を見つけ出し完治させた。
いくら安楽死専門に身を落とそうと、俺だって医者だ。プライドが傷つく。
なんだか悔しくなって俺は言った。
「言っておくがな、お前さんが勝手に治療したんだ。俺はびた一文診療代は払わないぞ」
法外な治療代を要求する強欲な奴だ。
怒りだすか、ムッとするかと思っていたのに、微笑みは消えない。
「治療代・・・ね。別に払えないならいいですよ」
「は、払えないんじゃない!払わないんだ!!」
危ない危ない、貧乏人のレッテルを貼られるところだった。
なんだ、こいつ善意の医者に転身したのか、金がないなら払わなくっていいなんて、こいつの台詞じゃない。
「払いたくないと?」
「ああ」
真正面から睨みつけると、ブラック・ジャックは困ったように笑った。
「じゃ、仕方がありませんね」
ふうと小さく溜息を吐いてブラック・ジャックは目を閉じた。
あ、なんか罪悪感が湧いたぞ。
こいつもしかして本当に赤ヒゲならぬ良い医者になったのか?
と思った俺の目の前でブラック・ジャックの表情がガラっと変わった。
「じゃぁ、体で払ってもらおうか」
開いた赤い目がギラギラとした光りを放って俺をみつめた。
「なに?」
「体で払えってんだよ!」
ブラック・ジャックは楽しげにそう叫ぶと、俺に襲い掛かってきた。
ベッドに寝た状態だった俺はあっという間に押さえ込まれる。
ビリッと服が破ける音がして、俺は慌てた。
こいつ、本気だ!!
「やめろ、ココはキリジャサイトだ!ジャキリなんて誰も望んじゃいねぇ!」
バタバタ暴れてそう叫ぶが、覆いかぶさる男はビクリともしない。
それどころか笑いながら
「安心しろ、突っ込みはしない。いつも通り俺が受けてやるよ!」
なんて言い出した。
「じゃあ、どけ!俺は押し倒されるのは趣味じゃない!」
こんなこと言ってるが、この勢いじゃなにされるかわかったもんじゃない。
とにかくこいつから主導権を奪いとらなければ。
この体勢は俺にとって不利すぎる。
「残念だったな。ココの管理人(達)は俺が精神的行動的にガンガン攻めまくっているのも好みなんだ。
俺がおまえさんに挿入しない限りなんだってOKなんだよ、さあ、覚悟しろ!」
「うわーー、ヤメローー!!」
そうだった!
あいつらは完全キリジャスキーでジャキリは無理とか公言してるくせに、男前で攻める受けという矛盾するようなブラック・ジャックが大好物だったんだ。
そのことから考えると俺のバックバージンは守られそうな気はするが、あいつらのこと、指くらい簡単に突っ込んでくるはずだ。
それは御免蒙る。俺は完全攻めでいたいんだ!
俺はジタバタと思いっきり暴れるが、全体重をかけて押し倒してくるブラック・ジャックはビクリともしない。
ヤバイ!
このままじゃ、何されるかマジわからん!!とにかく逃げなくては!!
慌てる俺の上で、さっきまでは紳士然としていたブラック・ジャックが獲物を前にした獣のようにニヤリと笑った。


という夢をみた。
・・・俺もそうとう末期だな。
 
 
 
 
 

    
 
 
   
 ■あとがき■
トーレスさまのイラストがあまりにも新鮮で衝撃的だったので
その妄想を書いてしまいました。
絶対このBJには裏がある!
とか思いながら・・・
あんな素敵なBJにこんな文章つけちゃって申し訳ありません(ヘコヘコ)



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