■介護の日■
 
 

「おい、体起こせるか」
傷から来る高熱でぐったりしている五右エ門に声をかけると、目だけで訴えてくる。
たぶん大丈夫だ、放っておけというところか。
裏家業にどっぷり浸かってていれば生傷に耐えないのはお互い様だ。
次元とて、銃創の傷を自ら処置し、高熱と痛みにひとり耐えたことは多々ある。
だから五右エ門の気持ちはわからないではないが、だからといって放ってはおけない。
目の前に苦しんでいる人間がいるのを放置しておくほど次元は冷たくないし、見ず知らずの相手ならまだしも仲間なのだから尚更だ。
布団を剥がし、背中を支えながら、体を起こすことを促すと、五右エ門はじぶしぶながらも従う。
抵抗する程の気力も体力もないのだ。
日頃は白い顔も真っ赤で額にはびっしりと球の汗が浮かんでいる。
もちろん体中汗だくで夜着はぐっしょりだ。
それをひっぺがし、湯に浸して絞った暖かいタオルで体を拭く。
体がさっぱりしていくのだ、気持ちがいいはずだ。それなのに。
黙ってされるがままでいるものの、ぶすくれた表情をしていて、動きもまったく協力的ではない。
「なにが不満なんだよ」
こんなにかいがいしく世話をしてやってるというのに。
感謝されたくてやっている訳ではもちろんないが、文句言われる筋合いはないのだ。
そんな次元の気持ちが伝わったのか、それともしぶしぶの態とはいえ有り難くは思っていたのか、それでも文句は言いたかったらしく。
「これでは看病ではなく介護だ」
五右エ門はぶすくれたように呟いた。
一瞬なにを言われたかわからなかったが、すぐにその言葉が脳に到達した次元は思わず吹き出した。

 
 
■11月11日■
 

 
 
 

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