変装は別にいい、変装は。
ルパンと仕事をするようになって、変装の必要性は理解しているつもりだ。
警官だったり、老人だったり、冴えないサラリーマンだったり。
洋装が中心だが、一般市民に埋没したり、警備に紛れ込んだりするには都合がいい。
女の格好をしろと言われれば、必要ならば拒否するつもりはない。
だけれど。
「・・・くっ」
何が嫌かって女性用下着を身に着けるのが嫌なのだ。
パンツはまだいい。
褌愛好の五右エ門にとって男用のボクサーやビキニタイプも女性用もあまり変らない。
だが、乳あて、つまりブラジャーだけはいただけない。
男は乳を隠す必要はない。
つまりブラジャーとは女性専用の下着なのだ、それを男である自分が身に着けるというのは。
「屈辱だ・・・」
用意された変装衣装は、緑のドレスとアクセサリー、そしてブラジャー。
ゴツン
うううと呻く五右エ門の後頭部に真っ赤な林檎がぶつけられた。
「うるさい、さっさとつけろ。胸に林檎入れるの忘れんなよ」
非情なルパンの声と共に後頭部にまた一撃。
コロンと足元に転がる林檎に視線をやって、五右エ門は諦めたように溜息をついた。
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