■日本流年末年始の過ごし方【12/30】■

 
 
 
 
 

体がゆさゆさと揺さぶられているのを感じる。
「次元、いい加減に起きろ。もう9時だぞ」
遠くから聞こえる声に『まだ9時なら寝かせろ』と頭の片隅で答えながら、ふと意識が覚醒し始めた。
普通、五右エ門が朝から次元を起こしにくることなどほとんどない。
夜遅く、同じく朝も遅いことを知っているから無駄なことをしないのだ。
その五右エ門がわざわざ起こしに来ているのである。
今まで、こんな夢を見た自分が恥ずかしく思えるくらい甘ったるい夢を次元は見ていた。これはその夢の続きなのかもしれない。
「・・・目覚めの・・・キス」
ゴロリと転がって顔を声のする方向に向けてムニャムニャと呟く。
起こす声と揺さぶりが止まり少しの静けさの後、唇に柔らかいものが触れた。
その感触に一気に次元の目が覚める。パッと目をあけると、布団の脇に正座した五右エ門がいた。
ぐいっと鼻を摘まれる。
「イタタタタ」
ギュギュギュと高い鼻を更に高くしながら「寝ぼけるのも大概にしろ」と呆れたように五右エ門は言った。
「今日も掃除の続きだ。さっさと起きろ」
部屋を出て行く五右エ門の背中を見つめ唇に触れてみる。
夢か現実か。
まだ朝9時だというのに意外とスッキリとしている自分に気がついて、やっぱキスされたのか。五右エ門のキスの効能か、などど頭が腐れたことを考えたが、すぐにその理由に思い当たった。
長時間の移動、買物の主婦パワーに押され、休む暇もなくアジトの大掃除。
到着した時間が時間だっただけに掃除は生活に必要最低限の場所しかしなかったが、疲れた体にはそれなりに効いた。
夕食をとって五右エ門の沸かした風呂につかって一息ついたら、すぐに眠気が来た。
どこの子供だと突っ込みがきそうだが、なんと夜の10時過ぎには就寝してしまったのだ、11時間も寝ればそれはスッキリと目覚めるだろう。
寒さに身を震わせながら着替えて廊下にでると、窓も床もピカピカになっていて、台所から朝食の匂いが漂ってきている。
いつも通り朝早く起きた五右エ門は次元を起こすことなく、先に出来るだけのことはしていたのだ。
五右エ門も一応は気をつかってくれたらしい。
日本家屋の寒さに体は冷え始めているものの、なんとなく心はほんわか暖かい。
今日も一日、五右エ門にこき使われるのだろう。
だが、五右エ門とふたりきりで過ごしたいがため、ノコノコと着いて来たのは自分自身だ。文句は言えない。
それに頑張ったご褒美も期待できるはず。
いくら寝ぼけていたとはいえ五右エ門の唇の感触を間違うはずはない、さっきの目覚めのキスは絶対現実だったと確信している次元は自分を奮い立たせた。
「ま、今日も頑張るさ」
たまにはこんな時間を過ごすのも悪くない。まあ本当にたまには、ではあるが。
とりあえず水仕事意外なら頑張ろう。と、いかに水仕事を回避できるか思案しながら、五右エ門の待つ台所へ次元は向かった。

 
 
 
 
 

■NENMATUNENSHI NO SUGOSHIKATA 12.30■

 
 
 
     

 

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