■隠れた交歓■
 
 

喉元に突きつけられた刃。
同じように相手の眉間には銃口が突きつけられている。
ゾクゾクとした興奮が背筋を駆け上がっていく。
さっきまでの鳴り続けた銃声と金属音が嘘だったかのように、ハァハァという荒い息遣い以外には物音ひとつしない。
乱れ、土と泥で汚れた服。
お互いの凶器で裂けた場所からは血の匂いが立ち昇っている。
「イっちまいそうだ」
ニヤリとした笑いを浮かべて次元が言うと、五右エ門の唇が「同じく」と動いた。
刃と銃口が同時におろされる。
命の遣り取りはセックスと同じくらいの快感と悦びを与えてくれる。
これは決して口に出来ない想いを心の奥に隠したふたりの交合なのだ。

 
 
■お題【喉】■

自分の片想いだと思っている設定でも
お互い好き合っていることを知ったうえで伝えない設定でも
どっちでもいいですねvv
ま、結局は欲求不満ってことで♪<オイ

 

 
 
 

   
■煽り煽られる■
 
 

こんなことは初めてでどうしていいのかわからない。
人の肌を知らないわけではない。
もういい大人だ。それなりの経験は積んでいる。
それなのに、今このとき、過去のどの経験も役に立ってくれない。
指先で弄られた場所が、掌で撫でられた場所が、舌が這い回った場所が、熱を持ってジンと痺れる。
他意のない動き、ただ肌が触れ合っているだけでも体の奥が熱くなる。
まるで、全身の神経が剥き出しになっているようだ。
息が荒れるのを止められない。
洩れる声をかみ殺しきれない。
頭がくらくらして視界が回る。思考も神経も焼き切れそうだ。
「頭が・・・おかしくなりそうだ」
「俺はとっくにおかしくなってる」
視線が絡まる。
お互いの目の奥にあるのは、狂おしいほどの愛しさと欲望。
おかしいのは自分だけじゃない。
心の奥底から湧き上がる悦びは、更なる欲情を呼び込んだ。

 
 
■お題【頭】■
 

 
 
 

   
■待ち人■
 
 

ようやく見つけたときは血溜りを作って壁にもたれかかっていた。
そのときからずっと瞼は閉じられたままだ。
ピクリとも動かない瞼、そして体。
微かに上下する胸だけが、まだ生きていることを伝えてくる。
もう何日経ったのだろう。
このまま意識が戻らなければ危ない、という境界が近づきつつある。
こんな生き方をしている自分たちだ。
いつかこんな日が来るとは思っていたが、ここまでダメージがあるとは思っていなかった。
まだ、早い。
じわじわと胸の中に湧き上がってくる感情。
まだ、早い。
口元に濡れた手を翳さなければ息をしていることすらわからない状態。
だが、まだ生きている。
体は抵抗を続けてこの世にしがみつこうとしているのに。
おぬしはいったい何をしているのだ。

境界が超えつつある。
起きろ、起きろ。
傍らに立ち、強く念じる。
起きろ、まだ早い。そっちではない、こっちだ、早く戻ってこい。
動かない男を凝視しつつ、意識が絞られ己の存在が消えていくのを感じた。
無我の境地。


『とっととこっちへ還って来い!!!』


脳内に響いた雷のような己の怒声でハッと我に返った。
心臓がバクバクとしている。
拙者は今までなにを?と思う視線の端で、閉ざされ続けた瞼がピクリと動いた。

 
 
■お題【瞼】■

※『冥府の手』の五右エ門サイドのお話
   

 
 
 

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