■甘く響く声■
 
 

「五右エ門」
耳元で囁く低い声。
閨の甘さをたっぷり含んだ声色に、背筋がゾクリとした。
パッと目をあけると目の前にはしたり顔の次元。
「寝てんじゃねぇよ」
「寝ておらん。ただの瞑想だ」
次元の肩越しにみえるルパンが「行くぞぉ」と言ってドアに向かう。
仕事か、と立ち上がろうとする五右エ門の耳元に次元は唇を寄せて囁いた。
「瞑想だろうがなんだろうがそんなに無防備だと・・・キスするぜ」
低い低い五右エ門にしか聞こえない声には煽るような男の色香が混ざっている。
本気とからかい、半々というところだろう。
これから仕事だというのに何を考えてるんだ。
からかうにしても性質が悪い。五右エ門は少しムカリとした。
「別に良いぞ」
すれ違いざまにそう囁き返すと次元は驚いたように目をみはった。
その表情を眺めながらフンと鼻先で笑ってやった五右エ門であった。

 
 
■お題【耳】■
 

 
 
 

   
■盗まれた唇■
 
 

ルパンのあとに続こうとドアに向かう五右エ門の腕がとられ、軽く引っ張られた。
なんだ、と文句を言おうとして振り返った五右エ門は目を丸くする。
目の前の物体が次元のドアップだと認識した瞬間、唇に唇が触れたのだ。
それは深くは入って来ず、一瞬触れたあとにチュッと小さく吸ってすぐに離れた。
「していいって言ったろ?」
突然のことに驚き硬直する五右エ門に次元がニヤリと笑いかける。
「続きは仕事が終わったらじっくりとな」
ポンポンと肩を叩いて次元はドアに向かう。
ようやく我に返った五右エ門が顔を真っ赤にしてその背を追おうとしたとき。
「おい、いつまで待たせるんだ」
廊下からルパンがピョコリと顔を出した。
「悪りぃ、悪りぃ」
悪びれのない声で謝る次元にルパンは「イチャつくなよなー」と呆れたように言った。
「・・・・・・イチャついてなどおらん!!」
怒った調子でそう叫んだ五右エ門だったが、真っ赤な顔で言っても説得力はなかった。

 
 
■お題【唇】■

※「甘く囁く声」のつづき
   

 
 
 

   
■甘い指に嫉妬する■
 
 

いきなり手をとられて驚いているうちに、己の指先が次元の口の中に消えるのが見えた。
まるで飴玉でも舐めるように舌先が動き、ちゅううと吸われる。
「なにをする」
バッと手を引き戻すと、次元は抗わずその手を開放した。
「甘いな」
「な、に?」
「指先が甘い」
「そんなはずないであろう」
唾液で湿った指を袖口でぐいぐいと拭く。
「あ、ひでぇ」
汚いものを拭うような仕草をみて、次元が小さな声で抗議した。
「ひどいのはどっちだ」
こんな真昼間のリビングですることかと突っ込もうとしたが、じゃあ夜ならいいのかと返されそうなのでやめる。
「チョコ喰ったろう」
そう言われて、そういえば、と思い出す。
なぜか突然「たまにはね。お付き合いよ」と謎の言葉と共に不二子がくれたのだ。
そういうと次元は「ふーん」と少し安心したような表情を浮かべた。
「ま、いい。俺は今夜、お前の甘い肌を味わうことにするさ」
話の流れがわからない。
だが、次元がなにを求めているかはわかる。
「甘くなどない」
「甘いさ。どこもかしこもな」
「・・・・・・・味覚障害だな」
フンと顔を逸らして言った五右エ門の言葉に次元はプッと吹き出しながら
「そうかもしれねぇなぇな」
と答えた。

 
 
■お題【指】■

※バレンタンネタ
   

 
 
 

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