誘ったのは貴方だ
脳内に声なき声が響き渡ると同時に意識も躯も暗転した
足の裏には土の感触、目の前には鬱蒼と広がる木々、耳にはザワワという風に揺れる枝葉の音
今まで確かにあったそれらのものはすべて消滅し、
いま五右エ門を包み込んでいるのは眩いばかりの真っ白な世界
上も下もない浮遊感
手足どころか体のどこにも触れるものがない空間
いったいなにが起こったのか、と訝しがるよりも早く、躯の表面を何かが走った
『あ!?』
ひとつではない、いくつもの柔らかいなにかが表面を縦横無尽に動きまわる
靄のようかに微かな感触かと思うと、綿のように柔らかな感触に、かと思えば弾力のあるゴムのように
なんともいえない何かが肌を滑り、躯の至るところを刺激する
『うぁっ』
どんな感触であろうともそれらすべては耐えようのないほどの快感を与えてくる
逃れようと身を捩っても縋りつくものも掴む場所もなにもない
ただの真っ白い空間があるだけだ
なにかに包み込まれ肌も口内も耳の中もすべてが犯され、身の奥底から快感が湧き上がってくる
『はぁはぁ』
くぐもった荒い息だけが空間に響き渡る
強い快感に思考が朦朧となる中、更に強い快楽に五右エ門は悲鳴をあげた
細い何かが躯を貫いたのだ
反り返ったモノの先端から入り込み足の先に抜けた
次には後孔を貫き頭の天辺ま駆け上がる
見開いた瞳に空間を縦横無尽に行きかう光の線がみえた
下肢にある孔から侵入し、躯を貫き、先端から抜けていく
ビリビリと痺れるような快感が躯の中を駆け巡る
後門に侵入する光は徐々に束なり太さを増しつつ、跳ねる躯を容赦なく犯し続けた
『な、なに・・・もの・・・だっ』
躯の中も外もすべてが性感帯になったような状態で気も狂わんばかりの快楽の中
それでも五右エ門は微かに残った思考で己を犯す何者かに問いかける
誘ったのは貴方
私はただその誘いに応えただけ
響き声なき声と共に真っ白い月のビジョンが脳内に浮かび上がる
同時に今まで以上に巨大な光に飲み込まれ飲み込まされ
五右エ門は嬌声をあげならが吐精した
夜明けは遠く月はまだ沈まない
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