「少しは落ち着いたか」
乱れた息に塗れているのに、妙に冷静な声だった。
次元が目をあけると躯を斜めに倒し、覗き込んでいる侍の顔が見えた。
朱色に上気した汗だくの躯を顔をしているのに切れ長の瞳の奥は心配気に揺れている。
「わりい」
トゲトゲに荒れた心と言葉を吐く次元を、五右エ門は問答無用で押し倒した。
いつもはされるままで誘うことも自ら積極的になることも少ない、お堅くある意味未通娘のような侍が、舐めてしゃぶり勃起させ自らの中に咥え込み、次元の上で淫らに踊った。
驚きよりも投げやりな態度で床に寝そべりされるままだった次元だが、快楽が深まるにつれ、五右エ門の切なげな声を耳にするにつれ、頭の中はカラッポになり、最後はただただ快楽に身を任せた。
真っ白にスパークし侍の中に思いっきり吐き出した瞬間、心の奥に溜まっていた黒い気持ちは一緒に霧散してしまったようだ。
まさに身を持ってして次元を正気に戻してくれた五右エ門に対して、次元の心になんともいえない感情が湧き上がってくる。
それは言葉にして表せない複雑なような単純なような感情であったが、躯は正直で熱い体内で再び昂ぶり始めた。
「だが、コッチは全然落ち着けねえ。こんなに気持ち良くっちゃよ」
腰を突き上げながら捏ね回すと、キュキュッと内部が窄み咥え込んだモノを締め付ける。
ぐんぐんと体積を増していく存在感に、五右エ門は少し呆れた表情を浮かべ「愚か者が」と言った。
「また落ち着かせてくれよ」
次元は結合を解かずに躯を起こしその勢いのまま、五右エ門を床に押し倒した。
抵抗はない。
素直に組み敷かれた侍は体勢逆転時に体内を強烈に刺激されたのだろう、切なげな吐息をついた。
快楽を浮かべた表情、荒い息使い。そしてふたたび勃起をはじめたモノ。
目に映るすべてが五右エ門の欲情を、次元を求めていることを伝えてくる。
ぞくぞくとした興奮に次元のモノはますます硬く勃起した。ギュンという音が聞こえたかと思うほどだ。
そんな次元の腰に白い足が絡まりぐいと引き寄せた。にゅるりと伸ばされた腕が首に巻きついてくる。
「今度はおぬしが拙者を落ち着かせる番だ」
誘う眼差しで唇に笑みを浮かべた五右エ門を次元は思いっきり抱き締めながら、その唇を貪る。
よく考えれば今夜初めてのキスだ。絡まる舌が更なる快感を湧きあがらせる。
次第に激しく動きだす腰を止めることはもう出来ない。
ただふたりの躯が快楽から脱し落ち着くまで、一晩中でもこの行為は続くのだ。
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