■フェロモン■
 
 
 
 

 
何気なく聞いてみた。
特別な意味があったわけじゃないが、話の流れ的に聞いてみたくなったのだ。
答えてもらえたら、儲けモノ。
その程度の期待での問いかけだったのに。
目の前の侍は腕を組み目を瞑り眉間に皺を寄せ、ウーンと考え込んでいる。
怒り出しもせず、少し恥らったように顔を赤らめた俺の仲間兼恋人は、とにかく答えてくれる気になったらしい。
それはそれで嬉しいのだが、これはちょっと考え込み過ぎじゃないか?
「囁く声」とか「視線」とか「触れる指先」とか。
俺的にはそこら辺を意識して五右エ門の欲情を煽るようにしてるから、そう答えてくれれば俺の努力は実を結んでいるということになるんだが。
やっぱこれはちょっと考え込み過ぎじゃないか?
既に10分は経ってると思うんだが。まさか寝てるんじゃないだろうな?
そう思った瞬間、侍の目がパチリと開いた。
お、答えが出たのか?さてこいつはなんと答えるんだろう。
期待が顔に出ないように気をつけながら「で?」と視線で再度問いかける。
五右エ門は頬を少し赤らめると小さい声で「匂い」と言った。
・・・・は?匂い?
問い返すと五右エ門はコクリと頷いた。
「特に・・・む、睦んでいるときその匂いが強くなる」
言いづらそうに、視線をそらしてそう続ける。
えーーっと。
俺は「五右エ門が一番だと思う俺の性的魅力はどこだ?」ということを聞いたんだが。
・・・汗くせえってことか?
「違う。おぬしの・・・体臭のようなものだと思う」
益々顔を赤らめた五右エ門はすくりと立ち上がると「もうよかろう」と言って部屋を出て行った。
えーーと。
もしかして五右エ門の奴、俺の質問の意味わからなかったのか?それとも何か聞き違えたのか?
『性的魅力』じゃなくってそりゃ、俺の『嫌なところ』じゃねぇか。
どうりで簡単に問いに答えてくれる気になったわけだ。
期待した分、心底俺はがっかりした。

それにしても・・・俺の体臭ってそんなキツイのか?
ちょっと傷ついちまったぜ。
もっとシャワー浴びて清潔にしなくっちゃいけねぇってことか・・・。
男ってのは意外とデリケートなもんなんだよ、五右エ門。(泣)

 
 
 
 
 

■PHEROMONE■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
ジゲゴエSS。
ちなみに五右エ門はちゃんと質問の意図を理解して答えてますヨ(笑)
私は匂いに弱いのでどんな匂いか想像したくないですが
きっと次元は対五右エ門用のフェロモンを放出してるに違いない!
と思うのです♪




 
 
 

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