■2分の1の選択■
 
 

ほんの意地悪のつもりだった。
3人で組んでる仲間のうちの2人が恋仲になった。
ラブラブイチャイチャするわけではなかったが、なんか通じ合っているような、雰囲気が違うような気がして、ルパンはちょっと嫉妬したのだ。
次元は元々俺の相棒なのに。
五右エ門は俺が仲間に誘ったのに。
どちらか一方に嫉妬したわけではない、両方に少しづつ嫉妬したのだ。
よく考えれば嫉妬とは違うかもしれない、でもなんだか少し面白くなかった。
だから。
意地悪のつもりで、試すつもりで、ふたりに向かって質問をした。

「おい、次元、五右エ門」
ふたりが同時に顔をあげ、前のソファーに座ったルパンをみた。
「なんだ」
次元が答える。
五右エ門は視線で先を促す。
ルパンはにやりと笑って言った。
「次元、お前の場合は、俺と五右エ門が、だ」
「は?」
「五右エ門、お前の場合は、俺と次元が、だ」
「なんの話だ?」
ふたりが訝しげな表情を浮かべる。言っている意味がわからないのだろう。
それはそうだ、これは前提でまだ質問事項ではない。
「ふたりが窮地に陥ったら、おまえらどちらを助ける?」
「なんだ、そりゃ」
「つまらん」
呆れた顔をした次元と五右エ門にずずずいと体ごと詰め寄る。
「そういわねぇでよ。な、どっちだ?」
二者択一。
意地悪い質問だ。
だが、意地悪を抜いてでも、ルパンは本気で答えを聞きたかった。
「より窮地な方かな」
次元が答えた。
「助けてもらおうと思うな。自力でどうにかしろ」
五右エ門が答えた。
しかし、それはルパンにとって答えになっていない。
「五右エ門ちゃん、そう言わないでさ」
あまりの五右エ門らしい答えにルパンは苦笑を浮かべた。
「同じくらいのピンチさ。助けがなければ命を落とす、そんなとき・・・どっちを助ける?」
笑いを消して、真面目な顔で再度問いかける。
ルパンの本気が伝わったのか、ふたりも少し真剣な表情を浮かべた。
そして。
「「ルパンだな」」
迷いものせず、当たり前だというように、次元と五右エ門は同時に答えた。
「・・・え?俺?」
十中八九、そういう答えが返ってくるとルパンは確信していた。
だが、ふたりはそう答えることを躊躇すると思っていた。
恋仲の相手の前で、お前よりルパンを選ぶ、とはっきり言えないだろうと考えていた。
なのに、ふたりはお互いに気を使う様子もなく、そう答えたのだ。
「なにを驚く」
「そうそ、答えはわかってたくせによ」
五右エ門が、次元が呆れたように言う。
「・・・なんで、俺?」
よくよく考えれば、自分が選ばれると確信していたが、その根拠はないのだ。
このふたりがルパンを選ばない可能性もあったのだ。
「それよりもよ、ルパン」
ルパンの問いに答えず、次元は意地悪そうに笑った。
「お前なら、俺と五右エ門、どっちを助けるんだ?」
次元の質問を聞いて、五右エ門の唇にも笑みが浮かぶ。
ふたりの視線がルパンをしっかりと捕らえた。
「え!?俺!?」
さっきと同じ台詞。
だが、その言葉が出た意味は違う。
「さあ、答えろよ」
「是非、おぬしの答えを聞かせて貰おう」
思わぬ反撃に、ルパンがアワワと慌てる。
ほんの意地悪のつもりの質問だったのに、まさか自分に跳ね返ってこようとは。
ふたりの命が危ないとき、自分はいったいどっちを助けるのか。
片方を選択できたとして、今本人達を目の前にして答えられるだろうか。
目をぐるぐるさせて慌てふためくルパンを次元と五右エ門は面白そうに意地悪そうに眺めながら、こう思う。

どちらかを選べと俺達に言うのなら、俺達は迷わずルパンを選ぶ。
だって、俺達は「ルパンファミリー」だ。
ルパンがいなくなればすべてが終るのだから。
だが、絶対にこいつを見殺しにすることはない。
ルパンを助けたら、無駄だとわかっていても助けに行く。
例え一緒に命を落とすことになったとしても、それはそれで本望だ。

「お、俺なら・・・」
ルパンの絞り出すような声を聞いて、ふたりは身を乗り出した。
さて、ルパンはなんと答えるのか。
「俺は天才だ!俺ならふたり同時に助け出す!!」
破れかぶれか、本当に自信があるのか、ただの紙一重なのか。
本来の質問の答えになってない。が、あまりにもルパンらしい答えだ。
「なんだ、そりゃ」
「そんな答えがあるか」
ふたりはそう突っ込んだあと大声で笑いだした。

 
 

■1/2 NO SENTAKU■

 
 
 
■あとがき■


ルパンファミリーにおける次五はこんな感じじゃないかなーと思っております。
基本的に『ルパン第一』!!

だって「ルパン」ファミリーだもん。

  

 

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