■春到来■
 
 
 
 

春は多くの生命が息吹く季節。


寒さが緩みつつある今日この頃。
朝夕はまだ冷え込むが、太陽の光が注ぐ昼間は温かく、固く窄んでいた花の蕾も徐々に開きつつある。
そんな中でも今日は特に暖かい。空気が生暖かく感じるくらいだ。
そして風が非情に強い。
昼間のニュースで言っていたが、どうやら春一番が吹いているらしい。

ピューーと風が抜ける音と煽られて揺れる木々のざわめきが一面に響く。
ばさっという布のはためく音がして、次元はふと隣に視線を投げた。
着物は構造上、風を溜めやすい。
五右エ門も例外ではなく、袖や袴が大きく膨らんでいる。
風は強く、体ごと持っていかれそうな勢いだ。
そのうえ侍のこの状況ではさぞかし歩きづらかろうと、次元は気を抜くと飛んでいきそうな帽子を片手で押さえながら苦笑した。
だが侍は風に煽られるようでもなくしっかりとした足取りで歩んでいる。
慣れなのか、修行の成果なのか、流石だと思いながら横目で眺めていると。
ばさばさっと一段と大きな音を立てて、着物がはためいた。
大きく開けた胸元にも遠慮なく風が堪り、着物がぶわっと大きく膨らむ。
突然目の片隅に飛び込んできた場所に次元の視線が固まる。
日頃はみえそうでみえない両胸。
女と違って隠すものでもないし、鑑賞して楽しめるものでもない。
それなのに、五右エ門のその場所は次元の目を釘付けにした。
小さな乳輪とぷつりと尖った乳首。
今までみた誰のものよりも次元の欲情を煽る。
風の弱まりと共に、風は着物の中から逃げてその場所はすぐに隠されてしまった。
「なにをみている」
帽子のツバで目元が隠されているとはいえ、露骨な視線を感じたらしい五右エ門がジロリと次元を睨んだ。
邪まな感情に気がついているのか、いないのか。
それはわからないが、次元はニヤリと笑ってみせた。
「膨らんだり萎んだり、まるでフグみてえだと思ったのさ」
「河豚ぅ?!」
思いもよらなかった答えに、五右エ門が素っ頓狂な声をあげる。
「旨そうだろ?」
「河豚は嫌いではないが・・・」
なんで拙者が河豚なのだ、とぶつぶつ呟く五右エ門を眺めながら。
美味そうなのはおまえだよ、と次元は心の中で呟いた。


春は繁殖の季節でもあるのだ。
 
 
 
 
 

■HARU TOURAI■
   

    
 
 
   
 ■あとがき■
風が強い日に妄想したジゲゴエSS。
チラチラとみえるぴーちくは絶品でしょう♪


 
 
 

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