秋の夜長とはよくいったもの。
夏の寝苦しさから開放された秋の夜ってのはホントいいもんだ。
せっかくならこの長くて過ごしやすい時間を満喫したい。
俺のベットに五右エ門がいればかなり充実した時間を過ごすことができることは請け合いなんだが。
基本的に誘うのは俺の方だ。
あいつから誘ってくることはほとんどない。そしてヤってる最中の積極さもあまりない。
じゃ、やる気ナッシングなのかといえばそうではないが、自ら腰振って乱れるってことは過去数回あるかないか。
元々ノーマルなうえにプライドの高い奴だから男に「抱いて欲しい」なんて口が裂けてもいえないし、それを体現するのにも抵抗があるんだろう。
ま、俺も男だからその気持ちはよくわかるけどな。
だけど、恋人という立場からみるとなんとも切ない気分になる。
求めてられないとは思わない。抱き合うことを嫌がっているとも思わない。
ちゃんと求めてくれてるし、抱き合えば応えてくれる。
頼めば咥えてくれるしよ。最近は飲んでくれるようになったし。
嫌なら男に突っ込まれて感じたり善がったりしねぇだろしな。
わかっているんだが、すっごく頭ではわかっているんだが、どうしても奴から求められたいと思ってしまうんだ。
俺を欲しくって欲しくって仕方がない五右エ門。
だが俺からは絶対誘ったりはしねぇ。
焦れて躯が切なくなったあいつが俺をベットに誘うわけよ。
きっとはっきりとは誘ってこねぇ。遠まわしだったり恥ずかしげだったり。
でも俺はすっとぼけて気がつかないふりをする。気がついてもそんなに乗り気は見せない。
そうすると奴はどうするだろうか。
躯は欲情して俺を欲しがってるのに、それがなかなか手に入らない。
どんな風にして俺を誘うのか?どんな言葉で俺を誘惑するのか?
それが知りてぇ。
すっごく知りてえし、そのときのことを想像するとそれだけで興奮しちまう。
だが。
きっとそんなことはありえない。
セックスレスの日々を送ればそのうち焦れて誘ってくるかもしれないが、その場合、たぶんというか絶対俺が先に根をあげる。
目の前に、手の届くところにいるのに抱かずにいられるほど俺は枯れちゃぁいないんだ。
毎日ヤったっていいくらいだ。
ま、残念ながらそれはあいつが許してくれねぇけど。
じゃあ、どうするのか。
俺に余裕があって、五右エ門には余裕がない状態。
自然発生的には到底ありえねぇことだと俺は思う。ちょっと情けねぇけど事実は事実だ。
ということは、自然発生でなく強制的にその状況を発生させるしかない。
つまり・・・媚薬。
眉唾もんかと思ってたけど、かなり強力なモノを手に入れた。
実際使ってメロメロになったという昔馴染みから奪うように買い取ったんだ。
これを五右エ門に飲ませる。
というか・・・さっき茶に混ぜ込んでもう飲ませた。
ふふふふふ。
今日、このアジトには俺たちふたりしかいない。
ということはどんなに暴れてもどんなに大声を出しても全然問題ないということだ。
五右エ門のやつ、どんな風に誘ってきて、どんな風に乱れてくれるのか。
期待で胸が膨らむ。気を抜くと股間まで膨れそうだが、それはぐっと抑える。
今日の俺の役どころはいまいち乗り気じゃない男。
あいつを焦らして焦らして焦らしまくってやる。
ふふふふふ。
無意識にニヤケてしまう。
ヤバイ、こんなことじゃ駄目だ。気を引き締めなければ。
そう思って顔を両手でパンっと叩いたとき、ドアがバンと音を立てて開いた。
驚いて顔を向けると仁王立ちの五右エ門がいた。
ノックなんて聞こえなかったぞ?礼節を重んじるこいつがいきなり人の部屋に乱入するなんてありえねぇ。
・・・もしかしてクスリ盛ったことに気がついて怒鳴り込んできたのか?
冷汗が背筋を流れるが、表情には出さず「どうした?」と何気なく問いかけて五右エ門をみつめた。
怒っては・・・ないみたいだ。
頬が上気して目が潤んでる。吐く息も荒い。
襟の合わせ目から覗く肌はまるで情事中みたいに仄かにピンク色に染まっている。
これは・・・媚薬が効いてる。俺の計画通りバッチリだ!
「次元・・・」
すっげえ、この声、この口調。
完全に欲情してるぞ。欲しくって仕方がないってときの声色だ。
「どうした?」
期待満々の俺だが、ここですぐに飛びついたらせっかくの計画がおじゃんだ。
焦れたこいつに跨らせて自分で挿入させて、騎乗位とかでガンガン腰を振らせてやるんだ。
そのためには少しつれなくして、余裕をもって接しなくては。
「次元、ヤろう!!」
「・・・は?」
「いや違うでござる。ヤルぞ、次元!」
あまり違いがないような言い直しだが、よく考えると十分違う。
誘いじゃく強制ってか?
ズガズガと遠慮なく部屋に入ってきた五右エ門が、ベットの端に腰掛けていた俺をドンと突き飛ばした。
唖然としていた俺は抵抗する間もなく、ベットに押し倒される。
俺に跨った五右エ門はあっという間に全裸になった。
「ちょっと、待て!」
「待たぬ!」
あわあわ慌てる俺を横目に、五右エ門はスラックスのジッパーを引き下げて俺の息子を引き摺りだした。
さっきまでの期待もあってすでに半勃ち状態の息子をみて、五右エ門が嬉しそうに笑う。
可愛いとか、色気があるとか、そういう形容詞があうような笑いじゃない。
どちらかといえば、妖しいというか・・・魔女に喰われそうというか、まあそういった感じだ。
そして喰われた。
パクっと一口で俺の息子は五右エ門の口の中だ。
き、気持ちいいが・・・ちょっと、ちょっと待ってくれ。
「おい、五右エ門!!」
「なふた」
咥えたまましゃべらないでくれ、気持ち良過ぎる!
頭はパニックを起こしているものの、躯は素直に五右エ門の愛撫に反応する。
ペロペロ、チュウチュウと舐められ吸われ、俺の息子はあっという間に勃起した。
ギュンと音がしたかと思うくらいの立派な勃起ぶりだ。
「元気いいな」
咥え込んでいた息子を離し顔をあげた五右エ門がペロリと唇を舐めながら言った。
ああ、ああ、元気がいいよ、俺の息子はいつだって元気いっぱいだ。
って、違う!今はそんな阿呆な突っ込みをいれてる場合じゃない。
シュルリとネクタイが外されてシャツを肌蹴させれて、俺は圧し掛かる五右エ門を押し戻そうとした。
「ちょっと、待てって!どうしたんだよ!」
いや、どうしたのかはわかっている。仕込んだのは俺だ。
だけど、なんだこの展開は。あまりの急展開さについていけねぇ。
「セックスをしようといっているのだ」
「それは嬉しいけど、少しはムードってもんがあるだろ!?」
これじゃあ、女の台詞だ。恥ずかしい。
欲情した瞳で俺を見下ろしながら、ふっと五右エ門が笑った。
「ヤルことは同じでござる」
確かにそうだけどよ!!
「乗り気じゃないならおぬしはじっとしておればよい。拙者が勝手にする故」
「ああっ!!」
喰われた。
俺の息子は五右エ門の下のお口にパックリと喰われてしまった。
既に内側はトロトロに溶けててすごく熱い。
前戯なんて全然してないのに既にこの状態。
やっぱ、あの媚薬。ものすげえ効果だ。
って、違うーーーーーー!!!!
確かに五右エ門から誘われてみたいと、積極的になって欲しいとそう思った。
だけどこの色気もムードの欠片のなさはなんなんだ!
こいつから強制的に羞恥やプライドを引き剥がして、抗いようのない欲情を埋め込んだら・・・こうなるのか。
さすが、侍、漢らしいぜ。
媚薬で理性というタカが外れた漢らしい五右エ門とのセックス。
今夜はどんな夜になるんだろうか。
期待と恐怖で胸と股間を膨らませながら、俺は俺の希望通りに騎乗位で息子を貪っている五右エ門をみあげた。
すっげぇ、気持ちいいけど・・・やっぱりなんか違うぜ。(泣)
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