ホビットの喰いっぷりは見ていて気持ちの良いものだ。
食事の必要があまりないエルフが必ず朝食の場に現れるのは
そんなフロドの姿を満喫したいだけに他ならない。
フロドのためにパンにハチミツを塗ろうとしていたレゴラスだったが。
ある一点に目を奪われてしまった。


■ハチミツ■


エルフらしからぬことに、少しの間ぼうっとしていたのだろう。
名前を呼ばれて我に返ると指の先がハチミツでべっとりと塗れている。
上質のハチミツは透明な金色で綺麗で美味しそうなのだけど、
指先につけばそればベタベタしていて気持ちがいいものではない。
レゴラスは何かを探すかのように周囲を見渡したあと

「ナフキンはあるかな?」

と困ったように微笑んで問うた。
フロドはそんなレゴラスをじっとみつめている。

「拭いてしまうの?」

つっと手を伸ばしてレゴラスの綺麗な手をとった。
白くスラリとした手。器用そうな長い指の先にハチミツが滴っている。
中指にも、人差指にも、薬指にも付いてしまっている。
どれだけぼうっとしてたらこんなにしてしまうのかちょっと呆れる程だ。

「もったいないよ」

フロドはそう言うと、レゴラスの手を引き寄せその指先を躊躇うことなく。
パクリ。
と咥えた。

甘いハチミツの味がフロドの口内に広がる。
今まで食べたどんなハチミツよりも甘く甘く感じる。
たった今まで食べていた、パンにつけたハチミツもホットケーキにつけたハチミツも
全部同じものだというのに。

指を一本一本しゃぶる。
側面は唇を這わせて舌で舐めとる。

ハチミツの味が消えて、いつものレゴラスの味しかしなくなると
ようやくフロドは顔をあげレゴラスの手を離した。

「ホラ、綺麗になった」

レゴラスは吃驚した表情を浮かべ呆然としている。
そんな常にないレゴラスの様子をみてフロドは満足気に微笑んだ。
いつもいつも振り回されているけど、こんな風に自分が振り回すのも面白い。
くすくす笑うフロド声に、ようやくレゴラスは我に返った。
ひとしきり笑い終わるとフロドは不思議そうに首を傾げた。

「そういえば、レゴラス。さっきは何をぼうっとしてたの?」

レゴラスは曖昧に笑って、その問いには答えなかった。
だが、フロドは気にすることなく。
再び目の前の朝食を平らげはじめたのだった。





一心不乱に食べていたフロドが手についたハチミツをペロリと舐めた。
唇の間から現れた小さな紅い舌先がすごくエロティックでつい見とれてしまった。
勿論、邪な妄想と共に。
なんて、言ったらきっとフロドは真っ赤になって怒るだろう。
だけど。
ハチミツもなかなか良いものだ。
と、レゴラスは心の中でそっとほくそえんだ。
 
 
 
 
 
 

   
  
 ■あとがき■
らぶらぶレゴフロ♪
フロドがかなり積極的です
というより
ただ食い意地張ってるだけだったりして(笑)
どちらにせよ、レゴラス煽られちゃってますネ
何を考えてるのかはご想像にオ・マ・カ・セ♪

   

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